神奈川縦断 徒歩の旅 第10夜(完結)
●「神奈川縦断」という大志を抱き、神奈川県最南端の「城ヶ島」を目指して歩くわたし。
あたりが暗くなった頃ついに「三浦市」に突入し、旅は最終局面を迎える。
すっかり日が落ちた道をとぼとぼ歩いていくと、
京急の「三崎口駅」にたどり着きました。
ちなみに、自宅からこの「三崎口駅」までは
電車を使えば1時間30分程で着くことができます。運賃にすると¥850-です。
歩いたら8時間30分かかりました。運賃はかかりません。
ここから「城ヶ島」までは、まだ6km以上あるのです。
この時、19時00分。「城ヶ島」到着は確実に20時を越えてしまいます。
ほんの一瞬、ちらりと
「城ヶ島に行くのはやめて、このまま電車に乗って帰っちゃおうかな」
などという弱気な考えが頭をかすめました。
しかし、わたしには前回(一日目)に江ノ島を、目前に家に帰ってしまったとの苦い過去があります。
二度続けての敵前逃亡は許されません。
いよいよ城ヶ島まで最終決戦です。
ともすれば沈みがちな気持ちをもう一度奮い立たせ、気合いを入れ直します。
「鬼が島」へ向かう桃太郎もかくや、思われる程の強い決意でした。
みんなに「無意味だ」とか「バカみたい」とか「他にやることないの」とか「友達いないの」
などと言われても「そこに城ヶ島がある限り」わたしは行くのです。
男にゃ男の意地があります。
「三崎口駅」を過ぎると道はさらに暗くなります。
夜道に浮かぶ『三浦大根』のカンバンです。
暗闇で見ると、この白地に赤文字は、ホラー映画の題字のようです。
明るかったら大根畑の広がるのどかな風景が見えたのかもしれませんが、
暗かったのでなんだかよくわかりません。
城ヶ島には橋が架かっているのですが、その橋は有料だそうです。
「城ヶ島大橋」の料金の案内です。
夜7時を過ぎている上、徒歩なのでタダです。
果たして『城ヶ島』に到達しました。
「白州碑前」のバス停をゴールとしました。
バス停の名前からもわかるように、近くに北原白秋の詩碑があるらしいのですが
もはや精魂尽き果てていたのでなかったので探しませんでした。
5分後にバスが来るようでした。
よって「城ヶ島」の滞在時間は、わずかに10数分ということになります。
「来ること」に意義があったのでそれでかまわないのです。
もうあたりは真っ暗なので、周りの眺めは城ヶ島だろうがその辺の道ばただろうが、
もはや、たいしてかわらないという事実もありました。
無事に着いたという安堵感、
震える程の足の痛み、
体の冷え、
砂埃の強風にさらされた瞳(ハードコンタクトを使用)
バスに乗った時、わたしは泣いていました。
乗客はさぞ驚いたことでしょう。
20時過ぎに、周りには人っ子一人いないようなバス停から、しかもおひとり様で、
さめざめと泣きながら、足を引きずって、怪しげな男が乗ってきたのですから。
以下、記録と反省です。
◎記録
一日目(平成22年2月7日)
●歩数 :41000歩
●移動距離:26km
・町田駅 11:00
・国道246号 12:30
・泉の森 着 13:10
・泉の森 発 13:40
・石川橋 17:10
・引地川親水公園 17:20
・引地橋 18:00
二日目(平成22年3月14日)
●歩数 :62000歩
●移動距離:38km
・引地橋 10:30
・新江ノ島水族館 11:40
・鎌倉高校前駅 12:30
・稲村ケ崎 13:00
・滑川交差点 13:30
・鶴岡八幡宮 14:00
・滑川交差点 14:40
・葉山御用邸前 16:30
・自衛隊武山駐屯地 17:50
・京急三崎口駅 19:00
・城ヶ島(白州碑前)20:00
◎反省
・出発が遅かった(いずれも前日に飲み過ぎた)
・(山歩きと異なり)歩いてもあまり体は温まらない。
・42.195kmも走る人はスゴイ。
・適度な休憩大事。
・地図とコンパス必要。
・強い心が必要(自分のやっていることに疑問を持たない)
・強い心が必要(カップルを見ても羨まない)
神奈川縦断 徒歩の旅
〜川と海を巡り歩く〜
『完』