おのしゅうのブログ

旧タイトル 注釈の多いオノマトペ

はしご七福神 「前編」

気がつけば、これはもう5ヶ月近くも前の話になってしまっていた。


平成23年が始まったばかりの頃の話である。
平成22年は個人的に様々な災厄に見舞われた年で、わたしは新しい年に大きな不安を感じていた。
そんな時にわたしの目に飛び込んできたのがこれだった。


わたしが住んでいる神奈川県藤沢市七福神めぐりのパンフレットだ、
いわゆる『藤沢七福神』と呼ばれるものである。
そう言えばそんな言葉を聞いたことがあるような気もしないでもない。


その寺社の一覧を見てみると、
白幡神社  (毘沙門天
●常光寺   (福禄寿)
●養命寺   (布袋)
皇大神宮  (恵比寿)
江島神社  (弁財天)
●龍口寺   (毘沙門天
●感応院   (寿老人)
諏訪神社  (大黒天)
   ※ぱっと見たところ、『七』福神なのに「八」カ所もあるのはなぜだ?
    と思ってしまうが、これは「白幡神社」と「龍口寺」の毘沙門天がかぶっている為である。


何度か訪れたこともある有名な寺院もあるが、初めて聞くような名前もある。
スタンプラリー形式になっていて、八個のスタンプを集めた人には
「開運干支手ぬぐい」を100円で売ってくれるらしい。(無料プレゼントではないのだ)
手ぬぐいはどうでもいいが地元の魅力再発見、ができるやも知れぬ。
厄払いと地元の文化スポット探訪の一石二鳥である。


パンフレットには、モデルコースとして
「どこどこからバスに乗れ」とか「江の電の『のりおりくん』が便利」
などと書いてあったが、わたしは全て徒歩で移動することにした。
四国八十八ヶ所のお遍路でも、自動車や公共交通機関を使ってまわるよりも
「歩き遍路」のほうがご利益があると聞いたことがあるような気がする。
しかもこれはたかだか藤沢市内である。歩けない距離ではない。
これで厄払いと、地元探訪と、ウォーキングによる健康増進の一石三鳥ということになる。


そのような考えで平成23年1月9日、引地川の引地橋(引地川のフラッグブリッジですね)を出発した。


(1)布袋

引地山養命寺(曹洞宗) 【本尊 薬師如来

家の近くなのだが、訪れたのは初めてだった。
というよりもこれまでは存在も知らなかった。
ちょっと奥まったところにあり、「七福神めぐり」ののぼりがなければ通り過ぎるところだった。
ここは、見事に誰もいなかった。静かだった。
それはいいのだが非常に大きな問題があって、それは『布袋』がどこにまつられているのかよくわからないということだった。
七福神』めぐりなのにその七福神の布袋さまを拝むことができなかったという、なんとも先が思いやられるスタートとなってしまった。

七福神度    ★
隠れ家的存在度 ★★




(2)恵比寿

皇大神宮(通称 烏森神社)【祭神 天照大神】 

これまでに何度かは訪れたことがある、大きな神社である。
ここはそれなりに賑わっていた。
わたしと目的を同じくした「七福神めぐり」の台紙を持った人もそれなりの数を見かけることができた。
(もっとも、みな熟年夫婦連れといった風情で、わたしのように20代でしかもひとりで等という人はいなかった)
ここは『恵比寿』が分かりやすくまつられていた。

       『恵比寿』

分かりやすいのはいいのだが、本殿が立派なだけにそのちんまりとした普請も目立ってしまい、少々寂しさも感じた。

七福神度      ★★
神社賑わってる度  ★★★★



(3)毘沙門天

白旗神社【祭神 寒川比古命源義経

わたしの地元の神社でなにかあったらお参り来る神社はここだ。初詣もここに来る。

       『毘沙門天

奥まったところに鎮座しているようにも見えるがよくわからない。
ここまでの三カ所で、一カ所もまともに『七福神の像』を見ていない。
ただ、周りのスタンプの台紙を持った人を見てみると、
まつられている(はずの)七福神そっちのけで
「スタンプはどこ!?」と騒いじゃってるのでこれはこれでいいのかもしれない。


七福神度  ★★★
地元度   ★★★★★



(4)福禄寿

八王山無量院常光寺(浄土宗)【本尊 阿弥陀如来

ここの『福禄寿』も初めはどこにまつられているか分からなかった。
しかしひととおりキョロキョロした後、それを発見することができた。

       『福禄寿』

祀られているというにはあまりに無造作にそれはあった。

その表情も、ポージングもなんだかふざけているように見える。
ここで初めてはっきりとした形で「七福神の像」に向き合うことができたがやはり釈然としない感じは残った。


七福神無造作度   ★★★
ポーズおもしろい度 ★★★★★


(5)大黒天

諏訪神社【祭神 いろいろ】

わたしがよく行く飲み屋(ホルモン三平)の提灯がかかっていた。
やや「大黒天」の赤いのぼりがくどすぎる観もあったが、
同時にここでは『大黒天』に対する尊厳というものも感じることができた。

       『大黒天』

決して扱いは大きくないが、となりに但し書きがあるのが分かりやすくて良い。
『大黒天』の像も他の場所にガラスケースに入ったものがあった。
ここの『大黒天』は大事にされているらしい。


七福神度    ★★★★★
提灯存在度   ★★★★★★


(6)寿老人

三島山瑞光寺感応院(真言宗)【本尊 不動明王

弘法大師の修行像などがあり、雑多な印象を受けた。
『寿老人』がどこかにいるはずなのだがよくわからなかった。


七福神度    ★
ごちゃごちゃ度 ★★★


(7)毘沙門天

寂光山龍口寺(日蓮宗)【本尊 日蓮上人】

古くは刑場で、日蓮が処刑されかかった場所だと言われている。
実はこの頃から日が暮れ始めてきた。
まだこの時点で江島神社の弁財天を残してしまっている。
ということでこの龍口寺ではお参りもそこそこに
毘沙門天』を発見できないまま江ノ島に向かうことにした。
(龍口寺の境内はやたらと広い)
白旗神社で『毘沙門天』は拝んでいるので(かぶっているわけですね)まあいいかと思ってしまった訳です。


もう歩き疲れちゃった度 ★★★
人ごみ度        ★★★★★


(8)弁財天

江島神社【祭神 いろいろ】

江島神社はその名の通り江ノ島の中にある。
まだ正月の九日ということもあり、江ノ島はとても混んでいた。

恵比寿屋旅館という旅館があった。弁天様のお膝元でこれはなかなかいい度胸というべきではないのか。
豊田市で日産の車に乗っているようなものだろうか。


       『弁財天』

この弁天堂は非常に立派であった。同時に混んでいた。
江島神社に『弁天様』が祀られているのは前から知っていた。
逆に言うと他の七カ所は寺社の名前くらいは知っていても、七福神が祀られているのは知らなかった。
江ノ島で初デートをすると弁天様が嫉妬してそのカップルは別れるという噂を高校生の際に聞いたことがあった。
ただ、それはわたしがまったく心配をする必要がない噂だったのはとても残念ではある。


七福神度   ★★★★★★
いも洗い度  ★★★★★★★★★



これで予定の八カ所をに全て参拝することができた。
七福神をコンプリート、というと若干怪しい部分も残るが)
なんとか日暮れ前に予定の行程を終えることができた。
歩き続けた疲労感と、無事に参拝を終えることができたという心地よい満足感に浸りながら
小田急線の片瀬江ノ島駅に向かって歩いた。

背後には江ノ島が夕日につつまれて、浮かんでいた。



しかし、わたしは帰りの片瀬江ノ島駅では思いもよらぬパンフレットを発見してしまった。
それがこれである。



後編に続く